入籍の日は、すでに決まっていました。両家の顔合わせも済んでいました。それでもご相談に来られた理由は、ひとつだけです。土曜日の午後、2時間だけ連絡がつかない日がある。それだけでした。
この記事は、東京都新宿区にお住まいの30代前半の女性からお受けした、婚約者の素行調査の依頼事例です。2026年2月から3月にかけてお受けしました。ご本人が特定されないよう、お住まいは区まで、年代はおおまかな幅でとどめています。お名前、勤務先、住んでいた建物の名前、婚活サービスの名称は一切書きません。
ご相談までの経緯
お二人が知り合ったのは、婚活サービスでした。2025年の春に成婚退会し、そこから交際が始まっています。ご相談をいただいた時点で、交際は11か月になっていました。
すでに婚約は済んでいて、両家の顔合わせも終わっていました。入籍日は5月の連休明け。式場は仮押さえの段階でした。
その状態で、ご本人がずっと気にしていたことが4つあります。
ご本人が挙げられた、気になっていたこと
- 土曜の午後だけ、2時間ほど連絡がつかない日がある
- 「取引先の対応」と説明されるが、相手の会社は土日休み
- 一度、車の助手席のシートの位置が、自分が座っていたときと違っていた
- そのことを口にしたら、翌週から車で迎えに来なくなった
どれも、一つだけ取り出せば説明のつく話です。シートの位置は気のせいかもしれないし、連絡がつかない2時間にも理由があるのかもしれない。ご本人もそう思おうとしていました。
ただ、シートの話をした翌週から車で迎えに来なくなった——この順番だけが、どうしても消えなかったそうです。
ご本人が、先に調べていたこと
ご相談の前に、ご自身で調べられていました。
まずSNSを探しましたが、相手はアカウントを持っていませんでした。次に勤務先のサイトで名前を確認し、実在することは確かめられました。
そこで止まりました。それ以上は何も出てこない。かといって、気になることが消えるわけでもない。
この状態が、およそ半年続いたそうです。誰にも言えなかった、と話されていました。親にも友人にも言えない。言えば「疑っているのか」という話になるし、何より自分が確信を持てていないからです。
結婚前のご相談で、いちばん多いのがこの状態です。「証拠がある」のではなく、「説明のつかないことが一つだけある」。そして、それを人に話すと「考えすぎ」で終わってしまう。だから一人で抱えたまま、日だけが近づいていきます。
行った調査
行動調査を3日間、お受けしました。
調査の内容
- 日数 3日間(土曜2回/平日1回)
- 調査員 2名
- 範囲 新宿区内のご自宅周辺から、都内の移動
土曜に2回入れたのは、ご本人が挙げた「土曜の午後2時間」を確かめるためです。1回だけだと、たまたまその日そうだっただけ、という可能性が残ります。2回同じことが起きるかどうかで、意味がまったく変わります。
平日を1日入れたのは、平日の行動が話のとおりかを見るためです。土曜だけを見ても、比べる相手がいません。「いつもと違う」を言うには、「いつも」を先に押さえておく必要があります。
3日という日数の決め方
結婚前のご相談で、最初に決めるのは日数ではありません。「どの時間を見れば答えが出るか」です。それが決まると、日数は後からついてきます。
今回は、ご本人の話から「土曜の午後」という的がありました。だから3日で足ります。
これが「平日も土日も、どこかおかしい気がする」という状態だと、こうはいきません。朝から晩まで見ることになり、日数も人数も増えます。同じ「素行調査」でも、金額が倍以上変わるのはここです。
ご自身で確かめようとする前に
ご相談の前に、自分で後をつけてみようかと考えたとお聞きしました。やらなくてよかった、とお伝えしました。
理由は3つあります。
ご本人が尾行すると、だいたいこうなります
- 顔を知られている 一度でも視界に入れば終わりです。相手は警戒し、以後その行動をやめます。何もなかったように見えて、確かめる機会だけが消えます
- 車と電車の両方には対応できません 今回も、相手は車で移動していました。一人で追うのは現実的ではありません
- 見てしまったときに、その場で動いてしまう いちばん多いのがこれです。目の前で確認した瞬間に声をかけてしまい、記録が何も残らないまま話し合いになります
ご自身でやっていただきたいのは、気づいたことを日付つきでメモに残すことだけです。これがあると、調査の日程を決めるのが早くなります。
分かったこと
土曜の2時間、同じ女性と会っていました。2回とも、同じ相手でした。
都内のマンションに一緒に入り、およそ2時間後に、別々に出てきています。2回とも同じ建物でした。
その女性については、お住まいの区と最寄り駅まで確認できました。
平日の行動は、話していたとおりでした。勤務先に出勤し、定時に出て、まっすぐ帰宅しています。
この「平日は何もなかった」という部分も、報告書に書きます。出たところだけを並べると、報告書が「探していたものを見つけた記録」になってしまいます。見た時間のすべてを時系列で残すから、読んだご本人が自分で判断できます。
報告書に載るもの
- 調査した日付と、開始・終了の時刻
- 対象者の行動を時系列にした記録(移動、立ち寄り先、滞在時間)
- 撮影した写真と、その撮影時刻
- 調査員の人数と配置
- 確認できなかったこと
最後の一行が入っているかどうかで、報告書の性格が変わります。「確認できなかったこと」が書かれていない報告書は、読む側が判断を誤ります。
分からなかったこと
ここは、はっきりお伝えしておきます。
- その関係が、いつから続いていたのかは分かりませんでした。
- 相手の女性が、婚約のことを知っていたかどうかも分かりませんでした。
ご本人からは「何年前からなのか知りたい」と言われました。そこは出せません、とお伝えしました。
行動調査で分かるのは、調査した日に起きたことだけです。過去に何があったかは、尾行しても出てきません。それを「調べれば分かります」と言ってしまうと、日数ばかり増えて、結局出ないという話になります。
相手の女性の事情についても同じです。こちらの依頼者ではない方を深く調べることは、目的の範囲を超えます。住んでいる区と最寄り駅までで止めました。
かかった費用
約185,000円でした。
当事務所が公表している料金表では、行動調査3日間は約100,000円〜300,000円です。今回はその中ほどに収まりました。
| 区分 | 公表している目安 | 今回 |
|---|---|---|
| 行動調査 3日間 | 約100,000円〜300,000円 | 約185,000円 |
| 行動調査 7日間 | 約200,000円〜700,000円 | — |
| 1日あたり | 約30,000円〜100,000円 | — |
料金の詳細は調査料金のご案内をご覧ください。
金額が中ほどになった理由は、追う時間帯が決まっていたからです。「土曜の午後」と分かっていたので、朝から晩まで張り付く必要がありませんでした。
逆に、「いつかは分からないが、何かおかしい」という状態からだと、日数も時間も増えます。ご本人が気づいていた4つのことが、そのまま費用を下げています。
その後
報告書をお渡ししてから、3日考えられたそうです。
そして、婚約を解消されました。
相手には、調査のことは伝えていません。「気持ちが追いつかなくなった」とだけ話されたそうです。式場は仮押さえの段階だったため、キャンセル料は発生しませんでした。
半年後に「別の方と結婚します」とご連絡をいただきました。
この事例から言えること
3つあります
- 引っかかりが1つでも、調査は成立します。「土曜の午後2時間」だけで、3日間で結論が出ました。証拠を集めてから相談する必要はありません
- 気づいていることを全部伝えると、費用が下がります。時間帯が絞れるほど、追う時間が短くて済みます
- 調査で分かるのは、調査した日のことだけです。「いつから」は出ません。そこを約束する事務所には気をつけてください
もう一つ、お伝えしておきたいことがあります。
この方は、入籍の2か月前にご相談に来られました。結果として、間に合っています。
ただ、式場を本契約していれば、キャンセル料が発生していました。招待状を出していれば、もっと多くの人に説明が必要でした。気になっていることがあるなら、日が近づくほど、動きにくくなります。
よくあるご質問
相手に気づかれませんか
気づかれないように行うのが前提です。ただ「絶対に」とは申し上げません。今回のように、ご本人が一度「シートの位置」を口にしたあとは、相手の警戒が上がっていることがあります。ご相談のときに、何を相手に言ったかを必ず教えてください。それによって入り方を変えます。
何も出なかった場合はどうなりますか
費用は同じようにかかります。ただ、何も出ないことが分かるのも結果です。結婚前の調査では、何も出ないまま終わる方も実際にいらっしゃいます。
婚約者の収入や借入も調べられますか
行動調査では分かりません。預貯金の残高、借入の有無、年収は、尾行や張り込みでは出てきません。これらを「調べられます」と言う事務所があれば、どうやって調べるのかを必ず確認してください。
結婚前に調べるのは、相手に失礼ではないでしょうか
そう感じて何年も言い出せない方が多いです。ただ、この方は結果的に「調べなければ、疑ったまま結婚していた」とおっしゃっていました。疑いを抱えたまま始める結婚のほうが、相手にとっても重いのではないかと思います。
いつ相談するのがいいですか
早いほど選択肢が残ります。式場の本契約前、招待状を出す前。この2つを越えると、金銭と人間関係の両方が絡んでくるので、動きにくくなります。
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引っかかっていることが、1つだけでも構いません
「土曜の午後、2時間だけ連絡がつかない」。この事例は、それだけから始まりました。証拠を集めてからでなくて大丈夫です。
調べるかどうかを決める前の段階で、お話だけ伺うこともできます。何が分かって、何が分からないかを先にお伝えします。

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