
情報漏洩を隠す社員の兆候が見られても、違和感だけで本人を犯人と決めつけることはできません。しかし、退職前の大量アクセス、必要性のないファイル閲覧、外部ストレージへの接続、業務報告と一致しない社外接触などが重なっている場合は、証拠が消える前に冷静な対応が必要です。
「深夜に顧客データへアクセスしている」
「退職を申し出た社員が大量の資料を閲覧している」
「競合会社へ移るという噂がある」
「情報漏洩を指摘した途端に端末や書類の整理を始めた」
このような状況で、準備をせずに事情聴取や端末回収を行うと、データの削除、関係者との口裏合わせ、証拠の上書き、突然の退職につながる可能性があります。一方、会社側が私物端末や個人アカウントへ無断でアクセスすれば、プライバシーや不正アクセス、労務管理上の問題が生じるおそれもあります。
大切なのは、社内で確認できた事実、内部通報の内容、会社側の推測を分けることです。そのうえで、アクセスログなどのデジタル記録と、社員の社外行動や接触先を必要な範囲で確認します。
この記事では、東京都新宿区を中心に法人相談へ対応するファミリー調査事務所 新宿支店が、情報漏洩を隠す社員に見られる危険な兆候、企業調査前に保全したい証拠、避けるべき初動、調査の流れ、費用、調査後の対応について解説します。
この記事の内容
このような兆候はありませんか?
- 担当業務と関係のない顧客名簿や営業資料を閲覧している
- 退職予定の社員によるファイルアクセスや印刷が急増した
- 深夜や休日に社内システムへログインしている
- USBメモリや個人クラウドの利用が疑われる
- アクセス履歴について尋ねると説明が何度も変わる
- 社用端末の履歴やメールを頻繁に削除している
- 競合会社や元取引先の担当者と私的に接触している
- 取引先から未公開情報を知っている第三者の存在を指摘された
情報漏洩の企業調査|相談内容の概要
| 相談者 | 東京都新宿区に事業所を置く企業の経営者・管理部門 |
|---|---|
| 相談内容 | 退職予定の営業社員による顧客情報と営業資料の持ち出しが疑われる |
| 確認済みの情報 | アクセスログ、印刷履歴、入退室記録、業務日報、社用端末の利用記録 |
| 主な兆候 | 業務外時間のアクセス、短期間の大量閲覧、説明の変化、競合関係者との接触情報 |
| 調査目的 | 証拠を保全し、社内記録と社外行動の一致を確認して対応判断の材料を整える |
| 調査後の対応 | 報告内容を弁護士や情報セキュリティ担当者へ共有し、事情聴取と再発防止策を検討 |
ご相談の背景|退職前に増えた不自然なデータアクセス
今回取り上げるのは、複数の法人相談を参考に、企業や社員を特定できない形へ一般化した事例です。
新宿区内の企業では、営業部門に所属する社員から退職の申し出がありました。退職理由は転居とされていましたが、社内では競合会社へ移るという話も出ていました。ただし、転職すること自体は不正ではなく、噂だけで情報漏洩を断定することもできません。
管理部門が定例のアクセス確認を行ったところ、社員が退職を申し出る直前から、担当外の顧客一覧、営業提案書、価格資料へ繰り返しアクセスしていたことが分かりました。通常は閲覧しない時間帯のログインもあり、短期間に多数のファイルが開かれていました。
さらに、複数の資料がまとめて印刷されていた一方、業務日報には印刷を必要とする商談が記載されていませんでした。本人へ軽く確認した際は「引き継ぎの準備」と説明しましたが、後日には「過去案件を整理していた」と説明が変化しました。
説明が変わったことだけで持ち出しを断定することはできません。しかし、アクセス対象、時間帯、印刷量、退職時期が重なっていたため、会社側は本格的な事情聴取の前に記録を保全し、確認すべき事実を限定することにしました。

社員へ確認する前の注意点|証拠保全を優先する
疑いだけで端末を操作したり、社員を問い詰めたりしないでください。
初動を誤ると、ファイルやメッセージの削除、ログの上書き、関係者との口裏合わせが起きる可能性があります。また、証拠の取得方法に問題があると、その後の懲戒処分や法的対応に影響することがあります。
最初に保全を検討したいのは、アクセスログ、メール送受信記録、印刷履歴、ファイル操作履歴、入退室記録、勤怠、業務日報、端末やアカウントの管理情報です。保存期間が短いログもあるため、いつまで記録が残るのかを早めに確認します。
原本へ直接変更を加えず、取得日時、取得者、取得元、保存方法が分かる状態で複製を作ることも重要です。ファイル名だけを残すのではなく、可能な範囲でメタデータやハッシュ値など、取得後に変更されていないことを説明できる情報も保存します。専門的なデジタル証拠が必要な場合は、フォレンジック事業者との連携を検討します。
一方、私物スマートフォン、私用メール、個人のクラウドサービスへ会社が無断でアクセスしてよいとは限りません。就業規則、秘密保持規程、情報セキュリティ規程、端末利用規程、個人情報の取り扱いを確認し、必要に応じて弁護士へ相談してください。
情報漏洩を隠す社員に見られる6つの危険な兆候
単独では断定できないものの、組み合わせに注意したい兆候
業務上の必要性を説明しにくい顧客名簿、価格表、設計情報、取引条件などを短期間に閲覧している状態です。担当変更や引き継ぎなど正当な理由の有無も確認します。
通常の勤務時間外に社内システムへ接続している兆候です。在宅勤務や緊急対応の可能性もあるため、勤怠、申請、業務報告との一致を確認します。
メール、閲覧履歴、チャット、端末内のデータを急に整理し始めるケースです。通常の退職手続きによる整理なのか、特定記録だけを削除しているのかを分けて考えます。
データを開いた理由、印刷目的、外部ストレージを接続した理由などの説明が変わり、業務日報とも一致しない状態です。説明の変化だけでなく、客観的な記録を優先します。
競合会社、元取引先、独立予定の協力者などと勤務時間中に繰り返し接触している疑いです。接触した事実だけでは情報の受け渡しまで断定できない点に注意が必要です。
大量印刷、USB機器の接続、個人クラウドへのアクセス、資料を入れた鞄の持ち出しなどが重なるケースです。端末記録と入退室、本人の担当業務を照合します。
これらは情報漏洩を示す可能性がある兆候ですが、一つ見つかっただけで不正を断定することはできません。繁忙期の作業、正当な引き継ぎ、システム上の誤記録など、別の説明が成立する場合もあります。企業調査では、不正であるという結論を先に決めず、反対の可能性も含めて確認します。
実際に行った企業調査・証拠保全
情報漏洩の企業調査では、デジタル分野の確認と社員の行動確認を混同しないことが重要です。探偵による企業調査は、主に公開情報、張り込み、尾行、立ち寄り先や接触相手の確認を通じて社外行動を記録します。端末解析が必要な場合は、企業の情報システム担当者やフォレンジック事業者と役割を分担します。
- 相談内容と調査目的の確認
会社が把握している違和感、対象社員の権限、退職予定日、疑われる情報、漏洩によって想定される影響を確認しました。懲戒を前提にせず、何を事実として確認したいのかを整理しました。 - 証拠保全の範囲と権限を整理
就業規則、端末利用規程、アカウント管理状況を確認し、会社が適法に管理・取得できる記録を選別しました。私物端末や個人アカウントは対象から外しました。 - アクセス記録と社内資料を保全
アクセスログ、印刷履歴、入退室記録、勤怠、業務日報を保存しました。取得日時や担当者を記録し、原本に不用意な変更を加えない形で複製を管理しました。 - 不審日時と確認対象を絞り込む
大量アクセスや印刷が集中した日、業務報告との不一致がある日を抽出しました。常時監視ではなく、調査目的に関係する日へ限定して調査計画を立てました。 - 公開情報と関係先を事前確認
転職先として疑われる法人や接触相手について、所在地、事業内容、公開されている役員情報などを確認しました。公開情報のみで関係性を断定することは避けました。 - 張り込み・尾行による社外行動の確認
対象社員の勤務時間中や退勤後の移動、立ち寄り先、接触相手、滞在時間を法律の範囲内で確認し、写真と時系列の記録を残しました。 - 記録の照合と報告書作成
社内ログ、入退室記録、業務報告、社外行動を時系列で照合しました。確認できた事実、確認できなかった事項、推測を明確に分け、弁護士へ説明しやすい報告書にまとめました。
調査結果・解決に向けた対応
確認の結果、対象社員が大量の営業資料を閲覧した日の退勤後、会社へ報告していない関係者と複数回接触していた事実が記録されました。また、接触日は印刷履歴が増えていた日と一部重なっていました。
ただし、社員が関係者と会っていたことや資料を印刷したことだけでは、機密情報を渡したと断定できません。金銭の授受や資料の受け渡しについても、確認できない部分が残りました。そのため、報告書には「接触を確認した事実」と「情報が渡された可能性」を分けて記載しました。
会社側は保全したログと調査報告書を弁護士へ共有し、対象社員への事情聴取、アカウント権限の見直し、秘密保持義務の確認を進めました。事情聴取では日時やファイルを具体的に示せる状態になったため、曖昧な疑いだけで追及する状況を避けられました。
調査によって不正を裏付ける事実が確認されない場合もあります。その結果も、社員への不必要な処分や調査範囲の拡大を防ぐための重要な判断材料です。情報漏洩の企業調査は、犯人を決めつけるためではなく、企業が説明可能な判断を行うために事実を整えるものです。
従業員不正の企業調査を総合的に確認したい方へ
横領、架空請求、経費の水増し、情報漏洩、取引先との癒着など、従業員不正の兆候と調査方法については、親記事で詳しく解説しています。
社員へ確認する前に、消える可能性のある証拠を整理しませんか
情報漏洩が疑われるときは、アクセスログの保存期間や対象社員の退職予定日を踏まえた初動が重要です。現在ある記録を伺い、社内で保全すべき情報と企業調査で確認できる行動を整理します。

情報漏洩の企業調査にかかる費用
情報漏洩の企業調査にかかる費用は、対象人数、調査日数、確認する地域、対象社員の行動パターン、必要な調査員数によって異なります。デジタルフォレンジックや弁護士への相談費用は、企業調査とは別に必要になる場合があります。
ご相談時に保有しているアクセスログや不審日時を整理できていれば、調査日を絞り込みやすくなります。最初から広範囲の調査を行うのではなく、目的達成に必要な範囲を確認したうえで、調査開始前にお見積りをご案内します。
| 調査・対応項目 | 料金 |
|---|---|
| 相談内容・保有記録の整理 | 案件内容によりお見積り |
| 公開情報と関係先の事前確認 | 案件内容によりお見積り |
| 張り込み・尾行による行動確認 | 案件内容によりお見積り |
| 接触相手・立ち寄り先の確認 | 案件内容によりお見積り |
| 複数日の行動確認 | 案件内容によりお見積り |
| 調査報告書の作成 | 案件内容によりお見積り |
すでに十分な記録があり、社内調査や専門家への相談だけで対応できる場合は、外部での行動調査が必要ないこともあります。必要性を確認せず、一律に調査をおすすめすることはありません。
担当調査員からのコメント
情報漏洩の企業調査に関するFAQ
A. 担当外データへの大量アクセス、深夜や休日のログイン、退職直前の印刷増加、履歴の削除、説明の変化などが挙げられます。ただし、個々の兆候だけで情報漏洩を断定することはできず、業務上の必要性や客観的記録との照合が必要です。
A. アクセスログ、ファイル操作履歴、印刷履歴、メール記録、入退室記録、勤怠、業務日報などを検討します。保存期間や取得権限を確認し、原本へ不用意な変更を加えない方法で保全してください。
A. 証拠保全前の事情聴取は慎重に判断してください。本人が警戒し、データを削除したり関係者と連絡を取ったりする可能性があります。聴取の時期と方法については、弁護士や社労士への相談も有効です。
A. 会社が当然に確認できるとは限りません。本人の同意、就業規則、端末の所有関係、調査目的などが関係します。無断でロックを解除したり、個人アカウントへログインしたりせず、弁護士へ確認してください。
A. 探偵による行動調査とデータ復元は別分野です。端末やサーバーの解析が必要な場合は、デジタルフォレンジックの専門事業者による対応を検討します。端末を操作し続けるとデータが上書きされる可能性があるため注意が必要です。
A. 調査の可能性はあります。印刷記録、メール、入退室、勤怠、業務日報、社外での接触情報など、残っている資料から確認対象を整理します。ただし、ログがある場合より断定できる範囲が狭くなることがあります。
A. 必ず撮影できるとは限りません。接触、移動、立ち寄り先などは確認できても、鞄や端末の内部、会話内容、データ送信の中身まで確認できない場合があります。調査で確認できる範囲を契約前に説明します。
A. 不審日時や行動パターンが分かっていれば、対象日を絞れる場合があります。一方、接触日が不明な場合や複数社員が関係する場合は、複数日の確認が必要です。保有情報を確認して調査期間を検討します。
A. 対象人数、日数、時間帯、地域、調査員数によって異なるため、案件内容によりお見積りとなります。社内記録から不審日を限定できると、必要な調査範囲を抑えられる可能性があります。
A. ご相談内容は秘密保持に配慮して取り扱い、行動調査も対象者に気づかれないよう慎重に進めます。ただし、現場条件によってリスクは異なるため、事前に調査方法と連絡体制を確認します。
A. 探偵が解雇や懲戒処分の適法性を判断することはできません。証拠の内容、就業規則、処分の相当性、事情聴取の手続きなどを踏まえ、弁護士や社会保険労務士へ相談してください。
A. 不正を裏付ける事実が確認されなかったことも重要な結果です。調査を無制限に広げず、アクセス権限、ログ保存期間、退職時の端末回収、秘密情報の分類など、管理体制の見直しへ切り替えることを検討します。
情報漏洩の疑いを、曖昧なまま放置しないために
社員を疑うことにためらいがあっても、証拠が失われてからでは確認が難しくなる場合があります。まずは現在残っているアクセス記録、印刷履歴、業務報告、不審な日時を整理することが重要です。
ご相談では、社内確認で足りる部分、企業調査で確認できる社外行動、専門事業者や弁護士との連携が必要な部分を分けてご案内します。調査を実施するか決まっていない段階でもご相談いただけます。




新宿支店
情報漏洩のご相談では、「怪しい社員がいるが、何から確認すればよいか分からない」という企業担当者様が少なくありません。重要なのは、疑いをそのまま事実として扱わないことです。アクセス記録、印刷履歴、勤怠、業務報告を整理したうえで、必要な日時に限定して社外行動を確認します。
接触相手が確認できても、それだけで情報漏洩があったとは限りません。調査では確認できた行動を客観的に記録し、法的評価は弁護士などの専門家へ委ねます。社員を問い詰める前の段階でも、現在ある情報から優先順位を整理することは可能です。