高級腕時計を預けると、毎月お金が入る。そう聞いて時計を預けた方が、ある日「解散します」の一文だけを見せられた——それがトケマッチ事件でした。

報道によれば、被害額は推定約28億円、戻らなかった時計は約1,700本、被害を訴えている方は約650人とされています。

このページでは、新宿の探偵が、報道されている事実の経過を整理したうえで、物を預ける前に確かめられることと、預けてしまった後にできることをご説明します。先に申し上げますが、当社は回収も交渉も行いません。それは探偵の業務ではありません。

このような状況ではありませんか?

  • 高級品を預けると毎月収入が入る、という話を持ちかけられている
  • 説明を聞いても、その会社がどうやって利益を出しているのか分からない
  • 契約を急がされている、あるいはキャンペーンで期限を切られている
  • すでに預けてしまい、連絡が取りづらくなっている
  • 「返金できます」と別の業者から連絡が来ている

何が起きたのか|報道されている経過

以下は、報道されている内容の整理です。当社が独自に調べた事実ではありません。

時期報道されている内容
〜2024年1月「トケマッチ」は、高級腕時計を所有者から預かり、借りたい人に貸し出すサービスとして運営されていました。所有者には毎月の預託料が支払われる仕組みだったとされています
2024年1月31日運営会社が、ホームページ上で解散を発表。「事情により1月31日をもちまして、解散することとなりました」との文面だったと報じられています
2024年2月利用者グループの集計で、少なくとも577本の時計が返還されていないと報じられました。預けた時計と同一のシリアル番号の品が中古市場に出ていた、との指摘も出ています
2024年3月運営会社の元代表に逮捕状が出され、国際指名手配の手続きが取られたと報じられました
2025年12月元代表の身柄が確保され、日本へ移送のうえ逮捕されたと報じられています
2026年2月業務上横領の容疑で再逮捕されたと報じられました
2026年3月5日東京地裁で初公判。業務上横領の起訴内容をおおむね認めたと報じられています
2026年4月元社員が、高級時計をだまし取った疑いで逮捕されたと報じられました

報道されている被害の規模は、推定約28億円/時計 約1,700本/被害を訴えている方 約650人です。

ここで押さえていただきたいのは、解散の発表から元代表の身柄確保まで、およそ2年近くかかっているという点です。物を預けてしまってからでは、時間はこれだけかかります。

なぜ、気づけなかったのか

空のウォッチボックス

「なぜそんな話を信じたのか」と言う人がいます。それは、あとから見ているから言えることです。この形が見抜きにくかった理由は、はっきりしています。

気づきにくかった4つの理由

  • 実際に、毎月お金が振り込まれていた。約100万円の時計を預けて月額34,900円が支払われていた、という例が報じられています。入金があるうちは、疑う理由がありません
  • 会社が実在していた。登記もあり、サイトもあり、サービスも動いていました
  • 現物を渡す取引だった。お金を振り込む投資話より、物を預けるほうが安心に感じます
  • 終わりが一瞬だった。解散はホームページの一文で告げられ、その前月にはむしろ預け入れを促すキャンペーンが行われていたと報じられています

ご自身の判断が甘かったわけではありません。入金が続き、会社が実在し、現物を渡している——この3つが揃うと、人は疑いません。そういう作りだったということです。

同じ形をした話を見分ける5つの確認点

高級腕時計に限りません。ブランドバッグ、貴金属、カメラ、車——「預けると毎月お金が入る」という形は、対象を変えて出てきます。次の5つを確認してください。

① お金の出どころが説明できるか

いちばん大事な一点です。預託料の原資が、実際の貸出料で賄えているのか。100万円の品に月3万5千円を払うなら、年間で品物の4割超です。それだけの貸出需要が本当にあるのかを、数字で説明してもらってください。説明できないなら、お金は別のどこかから出ています

② 預けた品の現況を確認できるか

いま自分の品がどこにあり、誰が使っているのか。シリアル番号単位で照会できる仕組みがあるか。「システム上お答えできません」という運用なら、預けた側には何も見えていません

③ 返還請求の条件が契約書にあるか

いつでも返してもらえるのか。返還までの期限は。応じない場合の定めは。契約書に返還の条項がないなら、その一点だけで預けるべきではありません

④ 保険・保管の実態があるか

「保険に入っています」という説明だけでなく、保険会社名・証券番号・補償範囲まで出てくるか。保管場所は実在するのか

⑤ 急がされていないか

期限付きのキャンペーン、増額ボーナス、紹介料。集める側が急いでいるときは、集めなければならない理由があります。トケマッチでも、解散の前月に預け入れを促すキャンペーンがあったと報じられています

預ける前に確かめられること

保管庫の棚に並ぶ空のケース

ここからが探偵の仕事です。契約書の中身ではなく、相手の実態を確かめます。

  • 会社の登記情報。設立日、資本金、役員、本店所在地の変更履歴。短期間に商号や役員が入れ替わっている会社は、それだけで注意が要ります
  • 登記上の住所が、実在の事業所かどうか。私書箱やレンタルオフィスの住所だけ、という例は珍しくありません。実際に見に行けば分かります
  • 保管していると説明されている場所の実在。説明どおりの設備があるかどうか
  • 役員の過去。公にされている経歴や、同種の事業の履歴。ご本人についての事実の範囲で確認します
  • 渡された資料の照合。許認可、保険、提携先——公開されている登録情報と突き合わせます

預ける前なら、費用は数十万円で済みます。預けたあとは、2年かかっても戻らないことがあります。これがこの記事でいちばん申し上げたいことです。

すでに海外が絡んでいる場合は、国によって確かめられる範囲が変わります。たとえばシンガポールは会社の実在を無料で確認できますが、韓国は個人の記録がほぼ閉じています。

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預けてしまった後にできること

すでに預けてしまった、連絡が取れない——その段階でもできることはあります。ただしできることの中身は変わります。

できること

  • 記録の整理。契約書、やりとり、入金の履歴、預けた品の写真とシリアル番号。いつ・誰に・何を渡し・いくら受け取ったかを時系列にまとめます。弁護士への相談や被害届に、そのまま使える形にします
  • 品物の特定に必要な情報の整理。シリアル番号、保証書、購入時の記録。中古市場に出ていた場合に、同一性を主張できるのはこれがあるときだけです
  • 相手方の現況の確認。会社が存続しているか、登記が残っているか、代表者が変わっていないか
  • 同じ被害に遭った方の動きの把握。被害者の会や集団での申し立てが動いているかどうか

できないこと

  • 品物を取り戻すこと。当社は行いません
  • 相手との交渉や、示談の取りまとめ。弁護士の業務です
  • 中古市場に出た品の、現在の所持者への接触。行いません

当社が行わないこと

はっきり申し上げます

  • 回収を行いません。品物もお金も、取り返す業務は探偵の仕事ではありません
  • 交渉を行いません。相手方との話し合いは弁護士の領域です
  • 「必ず取り戻せます」とは申し上げません。そう言う相手のほうを疑ってください
  • 相手方への接触・追及は行いません。確かめて、記録に残すまでです

いま「返金できます」「品物を取り戻せます」と連絡してくる業者がいれば、警戒してください。被害が報道された事案では、その後に二次被害を狙う連絡が必ず出てきます。手口についてはロマンス詐欺の見分け方と対処法のページでも触れています。

ご自身でやらないほうがいいこと

  • 契約書ややりとりを処分すること。捨てないでください。それが唯一の資料です
  • 相手方に直接乗り込むこと。こちらが不利になります
  • 中古市場で自分の品らしきものを見つけて、出品者に直接連絡すること。現在の所持者は事情を知らないことがほとんどです
  • 前払いで「回収」を請け負う業者に依頼すること。
  • SNSで断定的に書くこと。事実が確定する前の書き込みは、ご自身の立場を悪くすることがあります

費用の考え方

段階中身
① ご相談無料です。いま分かっていることを伺い、確かめられる範囲をお伝えします
② 記録の整理契約書・やりとり・入金履歴・品物の記録を時系列にまとめます
③ 相手方の実態確認登記情報の取得と照合、登記住所の実在確認、公開情報との突き合わせ。実費が別途かかります
④ 現地での確認保管場所や事業所の実態確認など。必要かどうかは②③の結果で判断します

預ける前のご相談であれば、②③で足りることがほとんどです。登記を見た時点で判断がつくこともあります。

すでに被害が出ている方には、必要のない調査はおすすめしません。これ以上の支出を重ねていただくわけにはいきません。どこまでやるべきかを、ご相談の段階で正直にお伝えします。

よくある質問

預けた時計は戻ってきますか?

当社にはお答えできません。刑事事件として手続きが進んでいる事案について、被害回復がどうなるかは弁護士の領域です。当社がお手伝いできるのは、何を預け、いくら受け取り、いつ連絡が途絶えたかを記録として整えるところまでです。「必ず取り戻せます」と言う業者には、応じないでください。

いま同じような話を持ちかけられています。どう判断すればいいですか?

本文の5つの確認点を、相手に直接聞いてみてください。とくに「預託料の原資は何か」と「預けた品の現況をシリアル番号で照会できるか」の2つです。ここで曖昧な答えしか返ってこないなら、それが答えです。そのうえで判断に迷うようでしたら、預ける前にご相談ください。

会社の登記を見れば分かりますか?

手がかりにはなります。設立から間もない、資本金が小さい、役員や商号が短期間で入れ替わっている、本店所在地が何度も動いている——こうした形は判断材料になります。ただし登記がきれいでも安全とは限りません。トケマッチの運営会社も登記はありました。登記は出発点で、結論ではありません。

時計以外でも同じことは起きますか?

起きています。バッグ、貴金属、カメラ、車など、換金性の高い現物であれば対象になります。「預けると毎月お金が入る」という形そのものを見てください。預かった品を売ってしまえば、その場では大きな現金が入ります。それを次の預託料に回す形になっていれば、いつか必ず止まります。

相手に知られずに調べられますか?

登記情報の取得は公開制度の利用ですので、相手に伝わることはありません。現地での確認が必要な場合も、知られないように組みます。

警察には相談すべきですか?

被害が出ているなら、届け出をおすすめします。そのときに、いつ・何を・誰に渡し・いくら受け取ったかが時系列で整理されていると、話が早く進みます。その整理が当社の役割のひとつです。

この記事の内容は、どこまでが確認された事実ですか?

経過の項に書いたものは、すべて報道されている内容です。当社が独自に調べた事実ではありません。司法の判断は司法が行うものですので、当社が断定的に書くことはしていません。

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